登っても走っても変われない

山登りやランニングの趣味を書き留めておき、老後、思い出に浸る為の備忘録

独りで 雁坂峠越え秩父往還 <埼玉編>

独りで 雁坂峠越え秩父往還 <埼玉編> 2018/9/15-16

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雨の中の雁坂小屋
 峠から雁坂小屋まで下りてくる。だいぶ疲れた。小屋の方からは話し声や笑い声が聞こえてきたが、小屋には寄らずに先を急ぐ。暗くなる前になるべく距離を稼ぎたい。しばらくは標高をほとんど下げないで、トラバースする道が続く。ところどころ登りもあって身体が疲弊する。

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トレイルを塞ぐ倒木
 だるま坂から先がようやく走りやすいトレイルとなるのだが、何しろ新しい倒木が多い上に、杉や檜の枝がトレイルに沢山落ちている。倒木を避けたり、跨いだり、そして枝を踏むと滑るので慎重に進んだりと、安全速度なのでなかなか距離が進まない。だるま坂を少し行ってからヘッドライトとハンドライトを点灯した。それにしても長い尾根だ。倒木が多く枝も沢山落ちているので、時たま道をロストしているのではないかと不安になり歩みを止めてスマホで確認する。樺小屋を過ぎるころ赤テープと金銀のテープが定期的に現れて安心できるようになった。小屋には明かりはなかったが、入り口に傘が干してあるのが見えた(誰か居たのかな?)。19時頃ようやく国道に出た。自分以外の明かりが見えた時何とも言えない安堵感に包まれた。しかし山から出ても、雨は一向に止む気配はなくシトシトと降り続いている。

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たぶん CP3扇屋山荘
 CP3の先のトイレにより再出発。何も考えていなかったのか、間違えてまっすぐ行ってしまい、トンネル入り口まで行き慌てて引き返す。身体だけでなく頭もはかなり疲れてきたようだ。パンを食べながら関所跡までの登りをゆっくり登る。そういえば足の攣りは無くなっていた。関所跡辺りから再び走り始める。2016年はこの辺りから平坦なところでも歩きが混じるようになった記憶があるが、今回は淡々と走ることができる。いい感じかも。しかしこの頃から足の裏が痛み出した。肉刺が出来たのか?その程度に考えていた。お腹が空いたので、大滝観光協会の階段に腰をおろして、残りのパンとスポーツ羊羹を胃に流し込んだ。雨は時折弱くなったりするようになったが、まるで止む気配はない。

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CP4 大達原バス停前
 しばらくして大達原バス停前のトイレに到着。参加した2016年の大会では直前にCP4として使用出来なくなり、CP4が三峰口駅前になったのだが、ここでトイレに行き水分を補給した思い出がある。
 ベンチに腰掛け、足の裏が痛いので肉刺が出来たのか?雨に濡れたからふやけたかな?と思い靴下を脱ぐ。げっ!足の裏全体が白くぷよぷよにふやけ、皮がギュッと筋状になって今にも裂けそうな感じだ。しかも両足とも。この状況はやばい、このままでは皮が剥がれてしまう!慌てて救急キットを取り出し、アルコールウェットティシュで足の裏を綺麗にして(これが良くなかったか?・・・)、減菌ガーゼを患部に当ててテープで止める。これで痛みが減り、患部が保護されればいいのだが………。家を出るときに保護皮膚クリームを念入りに塗ってきた。それに靴下はTabioのオールウェザーなので多少の雨では大丈夫だと思い込んでいた。保護皮膚クリームも持って来ればよかった。
 恐る恐る出発すると、先ほどより痛みが増している。1kmほど進んで、仕方がないのでロキソニンを飲んだ。いまだ雨はしとしと降り続けている。なるべく足元を水に濡らさないようにしなくてはと気を遣うが、道路わきでは自動車の水しぶきがどうしても掛かってしまう。そのうち痛みで歩きと走りが混ざるようになった。そして歩きが混じるせいか眠気が襲ってきた。走れば痛みで眠気が少し覚める。でも痛い。歩くと眠くなる。の悪循環。とうとう眠さが勝り、浦山口駅あたりの酒屋の軒先で雨を避けながら少し仮眠をとることにした。20~30分ほど寝ただろうか。24時を過ぎて日付は変わっていた。眠さは消えたので先を急ぐ。小ぶりになったが雨はまだ止んでいない。足の痛みは増す一方なので、もう一錠ロキソニンを飲む。あまりの痛みに歩きが断然多くなる。西武秩父の駅入り口を通過するとき、駅前のベンチに座って3~4時間も待てば始発に乗れるな。などと考えてしまう程、心も折れかかってきた。上野町交差点を右折して国道299号線にはいり、少し進んで閉まっている商店のベンチに腰を掛けてもう一度靴下を脱ぐ。やばっ!右足を脱いだ拍子にガーゼと一緒に皮が少しはがれてしまった。赤い皮膚があらわになる。左足も皮が割けて、赤い皮膚があらわになっていた。もう一度、丁寧にガーゼで患部を手当てする。とりあえず進まなくてはと正丸方面へ歩き出す。もう平坦でもほとんど走れない。
芦ヶ久保の道の駅隣の観光案内所前でも、再び眠気が襲いかかり30分ほど仮眠した。あまり記憶がないが、他でも何箇所か座り込んでウトウトしていたようである。

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CP6:正丸峠下

 だいぶ夜も明け、明るくなった頃、CP6正丸峠下に到着。知らぬ間に時計は5時になっていた。雨は霧雨に変わっている。深夜に正丸峠を越えるのはこえ~と思っていたがそんな心配ご無用であった。ゆっくり歩きながら正丸峠を越える。最後のあがきで下りをとてもゆっくりと走り国道に合流した。
 痛みを抑える為に再びロキソニンを飲もうと国道脇に腰をおろしたが、少し考えてもう飲むのを止めた。もう痛みを我慢して走るのは止めよう。でも川越には絶対行かなくては!